【施術事例|少しずつ生まれた信頼①】

今回ご紹介するのは、
出張ケアで関わらせていただいた方とのお話です。
初めてお会いしたのは、
まだ入院中だった頃。
一時外泊でご自宅に戻られているタイミングでした。
精神的な不調から入院され、
退院までは「1年くらいはかかるかもしれない」と
言われていたそうです。
薬の影響もあり、表情の変化が少なく、
発語もほとんどない。
挨拶は会釈程度で、
会話もほとんどありませんでした。
そして、私に対する警戒心も強く、
最初は身体に触れてケアをすることもできませんでした。
それでもご家族は、
「このままではなく、
何かできることはないだろうか」
そんな思いを持っておられました。
そこで始まったのが、
定期的な訪問ケアでした。
最初はご本人への施術ではなく、
ご両親のケアから。
ご両親の身体を整えながら、
同じ空間で過ごす時間を少しずつ重ねていきました。
無理に話しかけない。
無理に近づかない。
無理に触れない。
その方のペースを大切にする。
すると、ある時ご家族が気づきました。
「いつもなら、すぐ2階に上がるのに、
リナさんが来てる時は上に行かず、
椅子に座ってるね。」
私もご家族も、
「ほんまやね」とびっくり。
言葉はなくても、
少しずつ何かが変わっている。
そんな小さな変化を、
ご家族と一緒に喜びました。
そして3回目の訪問。
初めて、
その方の身体に触れさせてもらうことができました。
「触れる」という、
ほんの小さな一歩。
でも、そこに至るまでには、
その人のペースを待つ時間と、
ご家族と積み重ねてきた時間がありました。
ケアは、
身体に触れることだけではない。
まずは安心してもらうこと。
信頼してもらうこと。
そこから始まるケアもあるのだと、
この経験を通して改めて感じました。
次回は、
初めて身体に触れさせてもらえた
「3回目の訪問」のお話です。
